感嘆
高校の中央階段を3階から2階に降るとき、教室の壁上部にある窓から少しだけ外の景色が見える。
晴天の日なんかは絵画のように真っ青な四角い空が眩しかった。
6時限目になるとその四角い空は夕暮れに染まり、更に美しい。
ずっと見ていたい。そう思っても立ち止まることはできなかった。後ろにも前にも同じ制服を着たクラスメイトがひしめいて、ただただ流されることしかできなかった。
何より悲しいのはその景色を美しいと言うのが憚れることだった。
普通は夕日を見て泣きたくなるほど感動しない。
ただ空が美しいだけで立ち止まりはしない。
もしそんなことを言おうものならセンチメンタルだと嘲笑されるのだろう。
感受性が高い人間はそうそういないものなのか。